第一回|釣り釜

三月、茶室では釣り釜が用いられます。
なぜ、天井から釣るのでしょうか。

寒い冬を越え、ふと感じる春の風。
その気配を映すかのように、釜はわずかに揺れ、やわらかな季節の訪れを静かに伝えています。

遠い昔、誰が始めたのかは定かではありません。
けれどこの小さな空間には、春の訪れをそっと祝う、繊細な工夫が息づいています。

ただお茶をいただくだけでは気づかない、静かな発見。
そんなひとときが、そこにはありました。