第二回|桜と、ときはなち

「世の中に
たえて桜のなかりせば
春の心はのどけからまし」
——在原業平

もしこの世に桜がなかったなら、
春の心はどれほど穏やかでいられただろうかと、歌っております。


蕾の気配、三分咲き、五分咲き。
そして満開の一瞬の美しさ。
花吹雪、水面に浮かぶ花筏、葉桜へと続く静かな余韻。

私たちはつい、「変わらないこと」や
「満ち続けること」を求めてしまいます。

けれど、本来の美しさは、
移ろいの中にこそあるのではないでしょうか。

一服の抹茶もまた同じです。


協会設立のコンセプトでもある
「ときはなち」とは、
何かを無理に手放すことではなく、
自然と自分に立ち返ること。


あるがままを受け入れ、
今この瞬間に、そっと心を澄ませる。


季節を感じ、心をひらくひととき。
私たちが大切にしていきたい時間です。