第十二回|九月九日、重陽の節句

― 菊に長寿を願い、一服のお抹茶を

古来、日本では奇数を「陽」の数、偶数を「陰」の数と考えてきました。

中でも「九」は、陽の数の中で最も大きな数。
その「九」が重なる九月九日は、「重陽(ちょうよう)」、また「重九(ちょうきゅう)」と呼ばれ、五節句のひとつとして大切にされてきました。

重陽の節句には、秋を代表する花である菊を愛で、菊の香りを移した酒をいただきながら、長寿や無病息災を願う風習があります。

菊は、古くから長寿の象徴とされてきた花。
宮中でも重陽の節句には菊にまつわるさまざまな行事が行われ、「菊の着綿(きせわた)」のように、菊の露に長寿への願いを託す美しい習わしも伝えられています。

季節が夏から秋へと移りゆく九月。
菊の花を愛で、自然の恵みに感謝しながら、健やかに歳月を重ねていくことを願う――。

そんな「いのちを寿ぐ日」が、重陽の節句です。

そして今日、私たちが一服のお抹茶をいただく時間にも、
季節を感じ、心を整え、健やかな日々を願うという、日本人が大切にしてきた心があります。