「ときはなち」の精神と共に、世界中に抹茶の魅力を届けたい

日本抹茶協会の代表であるマーク・レイヴィーさん。アメリカで生まれ、アメリカで生活をしながらも抹茶に魅了されたというマークさんに、世界での抹茶の受け入れられ方や、“ときはなち”の精神とともに抹茶協会の目指す未来をお伺いました。

アメリカでは、抹茶はどのように捉えられている印象ですか?

アメリカでの抹茶は、スーパーフードとして、そして若者を中心に人気のドリンクとして広がっています。
ここ数年の日本茶ブームにより、街中でもお茶専門店がオープンし、中でも「MATCHA」は多く目に入ります。
昔はアメリカにはなかった飲み物としてもの珍しく知られていた印象ですが、現在では健康意識の高まりも追い風に、ひとつの有名な飲み物として知られている印象です。

アメリカではどのような人が抹茶を楽しんでいますか?

昔は本当に一部の人が嗜んでいましたが、今では街に溶け込み、レギュラー的なドリンクの選択肢として浸透している印象です。
若者向けの店舗も多く、セレブも嗜んでいるほか、ハイブランドもひとつのアイコニックなカルチャーとして抹茶を取り入れています。
そういう意味では、今では老若男女が楽しんでいる存在だと思います。

抹茶が世界に広まっていく中で、課題に感じることはありますか?

現在アメリカでは、正しい「MATCHA」を理解している人は少なく、スーパーには本物の抹茶か疑わしい商品も販売しています。
また、最初にスーパーフードとして広まってしまったため、文化や世界観が一緒に伝わっていないことも課題です。
正しい抹茶とは何か、背景や本質を理解してもらうべきだと感じています。

抹茶が世界でもっと理解され、受け入れられるために必要だと思うことは何ですか?

日本から海外に抹茶が来るときは、厳しい基準をクリアして渡ってきます。そのため、本来のオーガニックの抹茶として楽しんでいることがほとんどです。それを知らずに楽しんでいる人も多いですが、オーガニックであることは、世界的に受け入れられるための必須条件だと思います。

また、もうひとつは、ときはなちの精神で楽しむことです。
私たち日本抹茶協会が提言している「ときはなち」とは、多様な社会となり複雑化する現代で、なにものにも縛られず、捉われない心を持ち、大切ななにかに気づくこと。
世界中の価値観が違う人同士でも、自分なりのときはなち精神であれば、それぞれの土地、環境、人柄に合った形で抹茶を最大限に楽しめると思っています。

マークさんが描く「ときはなち」は?

私が初めて茶道を体験した時、それは「ときはなち」の深い瞬間でした。日常のプレッシャーから解放される感覚です。静寂な空間で、抹茶の丁寧な準備を見つめているうちに、普段の不安が心から消えていきました。亭主の優雅な所作と穏やかな雰囲気が、時間がゆっくりと流れるような空間を作り出していました。初めての一口を飲んだ瞬間、お茶の苦みとほのかな甘味が私の心の重荷を洗い流してくれるように感じ、「解き放ち」の本質を体現し、平穏な逃避のひとときを与えてくれました。

茶道が参加者に心配事を手放し、今この瞬間とつながることを可能にするように、私はクライアントがマインドフルネスの実践を通じて自身の「解き放ち」を見つけられるようガイドしています。「解き放ち」の本質を受け入れることで、彼らはストレスや気を散らすものを手放し、より深い平穏と意味を見出すことができます。このマインドフルなアプローチは、抹茶を準備し味わう静寂な儀式と同じように、明晰さと集中を生み出す空間を作り出します。

日本抹茶協会で叶えたいことは何ですか?

世界中に抹茶の魅力を正しく伝えること、そしてそれと一緒に「ときはなち」という概念を広めることです。
抹茶のブームはきているものの、まだまだ本当の魅力が広まっていないと感じるため、具体的な計画として、まずは日本最高級のオーガニック抹茶をアメリカで提供し、ゆくゆくは、多くの人に参加いただけるような抹茶イベントも開催したいです。

http://マーク・レイヴィー

Profile

  • マーク・レイヴィー
  • 日本抹茶協会 理事
  • 日本文化への理解が深く、スポーツ、エンターテインメント、テクノロジー、政治など各界の著名人の危機管理で知られる国際的ビジネスリーダー。EQLIBRMパートナーズのCEOとして、禅の実践をクライアントの戦略に組み込み、危機や混乱の時代における感情の機敏性を促進する。 また茶道を用いて、目まぐるしく変化する現代社会における内省と内なる叡智のためのユニークな空間をクライアントに提供するなど、マインドフルネスを中心に据えたパワフルなアプローチを実施。日本独自の文化と考え方にインスパイアされ、この変革的アプローチを世界中のクライアントと共有している。